🙋こんにちは、ライフワークはものづくりのぬくです。
😄私の彫金ライフは歴だけは長く、30年くらいになります。主にシルバー950(95%がシルバー)を使って作品を作っています。スクールに何年か通った後に家で作り始めたのはロストワックスの作品だったので、たまにロウ付けをする程度でした。そこから何年かして作りたい作品が出来て、板や線から組み立てるパーツを作ってロウ付け三昧というふうに移行しました。この転向はなかなか難しくて、うまくいかない事も多かったです。本当にロウ付けって奥が深いです。
🔍️彫金スクールではロウ付けを習うときに「シルバーは全体に火をまわさないとロウは溶けません」と教わります。
私自身、スクールでそう指導されましたが「どうしてそうなるのか?」は教わったことがありませんでした。
けれど、その「なぜ」を理解するとロウ付けの失敗はぐっと減り、成功率アップが見えてきます。
・シルバーは酸化しやすい
・シルバーは熱伝導率が高い
・毛細管現象が起こる
1.シルバーはとても酸化しやすい金属です。
熱を加えるとすぐに表面の酸化がはじまって酸化膜ができます。この酸化膜がロウが流れるのを邪魔して、せっかく温度を上げてもロウがうまく流れない。
2.シルバーは金属の中でもトップクラスの熱伝導率を持っています。
ピンポイントで加熱しても、熱がすぐに全体に逃げてしまうため、ロウ付け部位だけを局所的に温めるのが難しいです。
結果として、ロウ材の融点に達する前に熱が分散してしまい、ロウが流れないということになります。
3.ロウはなぜ隙間に流れていくのか?
その答えは毛細管現象にあります。この現象は液体が細い隙間に入り込む性質のことです。ロウ付けにおいては、地金同士の隙間が毛細管の役割をしています。溶けて液体になったロウがそこに引き寄せられるように流れていきます。
🔥ロウ付けの成功ポイント
①フラックス
酸化を防いで酸化膜を除去してくれるのがフラックスです。地金を守る保護膜であるばかりか、すでにできてしまった酸化膜も溶かしてくれるすごいヤツです。一度退場しても、状況を見て「再出動お願い!」することも。
ロウが通る“道”を整備するように、フラックスがきれいな通り道を作るようなイメージでしょうか。
②火のまわし方
・「全体に火をまわす」の意図するところは、地金全体を均一に温めてその熱でロウを誘導することです。ロウを置いた部分だけを集中して加熱するのでは不十分で、ロウだけが先に溶けて丸まったり、思わぬ方向に走ったり、固まったままいつまで熱しても溶けない状態になったりします。「ロウは火じゃなく地金の熱で溶ける」です。
・最初から強くて細い火で高温まで上げずに、ロウの融点よりも低めの温度で全体を均一に加熱します。火を当てたときにチラチラと表面が赤っぽく見えるようになったら、高温で一気にロウ付け箇所付近を加熱するとスーっと流れていきます。
※スクール時代に小さめの動物の置物を作ったんです。サイズがいつもより大きかったせいか、いくら火を当ててもロウが溶けないんです。最終的に先生に代わってもらうと、あれよあれよという間にロウが溶けて???となったのを覚えています。ずっと見ていましたけど、どこが違うのかさっぱりわからなかったんです。その時も確か全体に火をまわしてという助言をもらったんですが、結局うまくいかずどうしたらいいのかわからなくなってしまったのを覚えています。この時からロウ付けに苦手意識が芽生えたような気がします。こういうことを書いていると、よく覚えていることは失敗ばかりだなと思います…。
③毛細管現象
地金自体がロウの融点近くまで熱せられているときだけ毛細管現象で隙間にスッと流れてくれます。これを利用することでしっかり密着したロウ付け接合ができます。
ロウを流す隙間の広さもキーになります。
適切な隙間が必要で、隙間なくギチギチになっているとロウが流れず、隙間が広すぎてもロウが留まって流れてくれません。
では適切な隙間はどのくらいなのか?
工業系サイトによればフラックスを使うロウ付けは0.025〜0.12ミリくらいだそうです。でも数字ではピンとこないですね、例えて言うなら普通のコピー用紙1枚が0.1ミリ位なので紙1枚分?その程度でしょうか。
工業系と宝飾系は材料やロウ材などが一部かぶることもありますが違います。しかし、どちらも毛細管現象でロウを流すのは共通しているので、宝飾にも応用できると考えて参考にさせてもらっています。
※以前は隙間は狭いほどいいんじゃないかと思っていて、隙間をギチギチに寄せてロウ付けしてみたんですけどロウは流れず…やはり狭すぎてもダメなのかと納得でした🤔
まあ、普段ロウ付けするのに隙間が狭すぎるってことはあまりないんじゃないかと思います。
⚙️うまくいかなかった時に起こるよくある原因はこのあたりが多いと思うので「どこで失敗したのか」整理できれば原因を見極めやすくなるのかなと思います。
※私の失敗ケースは火の温度やまわしかたに理解が足りなかったことがほとんどの敗因でした。残りはロウ付けする接合面がキチンとしていなかったこととか、色々です。うまくいかないのに何度も同じことを繰り返してまた失敗という感じでした…でもあれこれ調べて試すと苦手で失敗続きだった私もロウ付けだらけの作品が何とか完成するようになったので原因を知ることはとても大事ですね。
🔥金属の性質や熱の動きを理解することで成功率が高まります。
①シルバーは酸化しやすい → フラックスで守る
②熱は全体に広がる → 均一な加熱が必須
③ロウは母材に誘導される → ロウ自体を直接攻めない
「なぜそうするのか」を知れば、失敗しても修正の糸口が見つけやすくなります。
化学を味方にして、ロウ付けが難なくできれば作品づくりの幅も広がってもっと楽しめますよね。
長くなりましたが、ここまで読んでくださってありがとうございます🙇

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